狭められた音の世界
ふとテレビをつけると,聞いたことのある名前.
研究者を招いて議論する番組だった.
この日のゲストは何度も読み返した本の著者だった.
「平均律」
黒塗りのピアノが普及して世界中に平均律が広がった.
それまである種の方言のように場所ごとに人ごとにあった音律が一様に均された.
平均律の広がりは,平均律によって作曲された音楽を世界中に広めるのに役立ったが,平均律でない音楽を聴かなくなることにつながる...
人間が,生物が,本来持っている音の感覚についてますます疑問が深まった.
ピタゴラスが整数比で音の響きを考え出した頃からずっと,音の世界は整備され,同時に狭くなってきたのではないか.
整然とした響き,大量生産に向く響きを求めるあまり,生物的な美しさを知る能力を失いつつあるのではないだろうか.
もちろん,平均律の音楽も十分に綺麗に響く.演奏も鑑賞も楽しめる.
ただ,そこだけにとどまらず,広い視野ならぬ“聴”野を持ち続けたいと思った.
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